【更年期】「書く」ことで頭の中をクリアに:寝つきを良くするジャーナリングのススメ
更年期を迎え、夜床についてもなかなか寝付けない、頭の中で考え事がぐるぐる回って眠りを妨げられるといったお悩みを抱えていらっしゃる方は少なくないかもしれません。日中の忙しさから解放されても、なぜか心が落ち着かず、かえって思考が活発になってしまうこともあります。
このような「頭の中のざわつき」が、寝つきの悪さにつながることがあります。更年期によるホルモンバランスの変化は、自律神経にも影響を与え、心身の緊張を高めやすい状態を作り出すことも一因と考えられます。
本記事では、そんな更年期における寝つきの悩みに対し、「書くこと」、特に「ジャーナリング」がどのように役立つのか、そしてその具体的な実践方法をご紹介します。手軽に始められるジャーナリングを日々の習慣に取り入れ、穏やかな眠りを取り戻すための一歩を踏み出してみませんか。
寝る前の「書く」習慣、ジャーナリングとは
ジャーナリングとは、形式にとらわれず、頭に浮かんだことや感じたことを自由に書き出すシンプルな習慣です。日記とは異なり、毎日書く必要もなく、体裁を整える必要もありません。ただ、「今、自分は何を考えているか」「どう感じているか」をありのままに紙の上に表現する作業です。
この「書く」という行為が、更年期における寝つきの改善に有効であると考えられています。
なぜジャーナリングが更年期の寝つきに有効なのか
更年期には、将来への漠然とした不安、体調への心配、仕事や家庭での悩みなど、様々な思考が頭の中を駆け巡りやすくなることがあります。特に寝る前は静かな環境になるため、日中抑え込んでいた思考や感情が浮上しやすくなります。
ジャーナリングは、こうした頭の中の「情報渋滞」を解消する手助けとなります。
- 思考の整理: 頭の中であやふやだった考えや感情を文字にすることで、客観的に捉えやすくなります。まるでパソコンの画面を整理するように、思考がクリアになるのを感じられることがあります。
- 感情の解放: 抑圧された感情や言葉にできなかった思いを書き出すことで、心の内に溜め込んでいたものが解放され、気持ちが軽くなることがあります。これはストレス軽減につながります。
- 不安の軽減: 不安な気持ちを具体的に書き出すことで、「何をそんなに心配しているのか」が明確になり、漠然とした不安が和らぐことがあります。解決策が見えやすくなることもあります。
- 「To Doリスト」の解放: 明日やるべきこと、思い出しておきたいことなどを書き出すことで、「忘れてはいけない」というプレッシャーから解放され、安心して眠りに入りやすくなります。
このように、ジャーナリングは心理的な負担を軽減し、リラックスした状態で眠りにつくための準備を整えてくれます。
寝つきを良くするためのジャーナリング実践方法
寝る前のジャーナリングは、特別な準備やスキルは一切必要ありません。ご自身のペースで、心地よいと感じる方法で始めてみましょう。
準備するもの
- ノートや手帳、あるいは紙数枚
- 書きやすいペン
これだけです。スマートフォンやパソコンを使うとブルーライトの影響や、通知による中断の可能性があるため、紙とペンがおすすめです。
実践ステップ
- 時間と場所を決める: 寝る前の15分〜30分前など、眠りにつく直前ではない時間を選びましょう。ベッドサイドの落ち着いた場所で行うのが理想的です。
- リラックスした姿勢をとる: 椅子に座っても、ベッドに腰かけても構いません。深呼吸を数回行い、肩の力を抜くなど、心身を少しリラックスさせてから始めましょう。
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自由に書き出す: 頭に浮かんだことを、良いことも悪いことも、考え事も感情も、そのままペンを動かして書き出します。「何を書こう」と構える必要はありません。
- 今日あった出来事(嬉しかったこと、困ったこと)
- 今、頭の中で考えていること、気になっていること
- 心配なこと、不安なこと
- 感謝していること
- 明日やりたいこと、思い出しておきたいこと
- ただ心に浮かんだ単語やフレーズ
- 感情そのもの(例:「もやもやする」「疲れた」「嬉しい」)
誤字脱字を気にしたり、きれいな文章にしようとしたりする必要はありません。誰かに見せるものではないので、正直な気持ちをそのまま書き出しましょう。 4. 時間や量に区切りをつける: 短時間(例えば5分や10分)と決めても良いですし、ノート1ページ分と決めても良いです。終わりが分かっていると、より手軽に取り組めます。 5. 書き終えたら: ノートや紙を閉じ、その日のジャーナリングは終了です。書いた内容を読み返しても良いですが、特に読み返す必要はありません。書くことで「外に出した」という感覚を大切にしましょう。
効果を高めるポイント
- 「判断しない」姿勢: 書いている内容が良いか悪いか、正しいか間違っているか、判断せずにそのまま受け入れましょう。これが感情の解放につながります。
- 習慣化を意識する: 毎日同じ時間に行う、寝室の決まった場所にノートを置くなど、行動と場所を結びつけると習慣化しやすくなります。毎日できなくても、週に数回でも効果はあります。
- 特定のテーマを決める(任意): 毎日同じテーマで書く必要はありませんが、「今日あった感謝なこと3つ」「明日へのポジティブな一言」など、テーマを決めて書くと、思考の整理がしやすくなる場合もあります。
実践する上での注意点
- 完璧を目指さない: 「ちゃんと書かなきゃ」と思うと負担になります。走り書きでも、単語の羅列でも構いません。
- ストレスにならないように: 書くこと自体が苦痛になったり、書いた内容に囚われてかえって気分が沈んだりする場合は、無理に続ける必要はありません。書くテーマを変えてみる、書く頻度を減らすなど、調整しましょう。
- プライバシーの保護: 書いた内容は個人的なものです。誰かに見られる心配のない場所に保管しましょう。
効果を実感するための目安と期待できる変化
ジャーナリングの効果は、すぐに劇的に現れるとは限りません。数週間から数ヶ月、継続することで徐々に効果を実感できるようになることが多いです。
- 短期的な変化(数日〜数週間): 書いた後は一時的に心が落ち着く、頭がすっきりする、といった感覚を得られることがあります。気になることを書き出すことで、「忘れなくて済む」という安心感から寝つきが少し改善されることもあります。
- 長期的な変化(数週間〜数ヶ月): 継続することで、自身の思考パターンや感情の傾向に気づきやすくなります。ストレスの源を客観視できるようになり、それに対する対処法を考えやすくなるなど、自己理解が深まります。結果として、日中も心が穏やかになり、それが夜の眠りにつながるという好循環が生まれることが期待できます。
「書く」というシンプルな行為が、心の状態を整え、更年期の寝つきの悩みを和らげる一助となる可能性があります。
まとめ
更年期における寝つきの悪さは、体の変化だけでなく、心や頭の中のざわつきが原因であることも少なくありません。本記事でご紹介したジャーナリングは、特別な道具や時間をかけず、誰でも簡単に始められるセルフケア方法です。
寝る前に少しの時間、「書くこと」に意識を向けることで、頭の中の考えを整理し、心の負担を軽くすることができます。完璧に書こうと思わず、気の向くままにペンを動かしてみてください。継続することで、ご自身の内面に気づきが生まれ、それが穏やかな眠りへとつながっていくはずです。
すぐに効果が出なくても焦る必要はありません。書く習慣そのものが、忙しい日々の中で自分自身と向き合う大切な時間となります。ジャーナリングを味方につけて、心地よい眠りを取り戻し、更年期を快適に過ごしましょう。